冷徹王子様は、あたしだけに甘い恋をする。


笑いながら、冗談みたく言ったのに、


「何か文句あんの?」

「え?」

「夏海が仲良くしろって言いだしたんだろ」


急に不機嫌な顔をして、またスマホに目を落とす冬哉。


確かに、ふたりがくっ付けば良いと思って、あたしが冬哉のスマホにはるかの連絡先を入れた。だから……。


「文句なんてない、けど……」


なんていうか正直、展開についていけない自分がいる。

あれだけ女子を毛嫌いしていたのに、ここ2、3日であたしも驚くくらいに仲良くなっているから。

はるかが可愛くて良い子だから……それもあると思うけど、さっきの言葉。


『夏海が仲良くしろって言いだしたんだろ』


「もしかして……」


──コンコン。


あたしが口を開いたのと同時に、誰かがドアをノックした。

「何」と冬哉が返事すると、ドアを開けて顔をのぞかせたのは冬哉ママ。


「あ、ふたりで勉強中だった? 冬哉にお風呂入っちゃってって言いに来たんだけど、もう少し後のほうがいい?」

「いや、いい入る。 もうだいたい分かんだろ」

「あ、うん。ありがと……」


あたしが頷くと、冬哉は立ち上がって部屋を出ていった。

パタンと閉まるドアに、ぽつんと取り残されたあたし。


冬哉の言葉に、急にはるかと仲良くし始めたのは、あたしのせいかと思った。


でも……違うよね。

だってその気もないのに、あたしの言うことをそこまで聞く理由なんてない──。