「……」
「どうした?」
「あっ、ううん!」
急に手を止めたあたしに冬哉が声をかけてきて、慌てて再び問題へと目を落とす。
なんだろう……今、何かを思い出しそうになった。
それは何となく大事なことだったような気がするけど、思い出せない。
「ね、冬哉……」
一度は何でもないとばかりに首を横に振ったけど、やっぱり気になって冬哉に心当たりを聞いてみようとした。
──そのとき。
ピコンッと静かな部屋に響いた、スマホの通知音。
鳴ったのはあたしのスマホじゃなく、冬哉のスマホ。
冬哉は机の上に置いていたそれを取り、画面を操作する。
その手つきは誰かにメッセージを送っているみたい。
もしかして……。
「はるか?」
「あぁ……」
あたしが尋ねると、冬哉は躊躇う様子もなく返事した。
女の子からのメッセージなんて、普段は既読すら付けないのに。
「へー、なんかいきなり仲良くなってるからびっくりしたよ。あ、そういえば今日からあたしがここに住むことも話したでしょ?」
別に隠すつもりはなかったけど、まさかあたしより先に冬哉がはるかに話してるとは思わなかった。



