冷徹王子様は、あたしだけに甘い恋をする。


夕食の後、ママとの約束通りお皿洗いをして、それからお風呂に入らせてもらった。

ゴシゴシとタオルで濡れた髪を拭きながら、あたしが階段を上がって向かったのは、これから一週間寝させてもらう一室。

そこは冬哉のお姉ちゃんである、千尋ちゃんの部屋。

あたし達より3つ歳上の千尋ちゃんは、県外の大学に通うため、去年家を出ていった。


部屋にはベッドとシンプルな木目の勉強机に、三段ボックスがひとつ。

一人暮らしをする際に必要なものを持って行ったというのもあるけど、千尋ちゃんの部屋には無駄なものがない。

それでも念のため千尋ちゃんに部屋を借りることを連絡すると、二つ返事で承諾してくれた。


机の椅子に腰掛けて、仕方なくカバンの中から勉強道具を取り出す。

冬哉に言われて思い出したけど、数学の課題の提出日は明日。やらないわけにはいかなくて、あたしは配られたプリントに目を通す……けど。


「……う、うー……」


無慈悲に並べられた問題に、小さく唸り声を上げながら、頭を机の上へと落とした。


こんなの一人で解けるわけがない。
誰かに教わらないと無理。

誰か……。