うわ……めんどくさい人に絡まれちゃった。

瞬間的にそう思ったのは、友永さんが自称『橘冬哉ファンクラブ会長』だから。


入学式の日に冬哉に一目惚れして、そのまま告白。いつものように冬哉は友永さんを冷たくフったらしいのだけど、なんでもそんな態度も気に入ったそうで。

冬哉のことを影ながら(?)見守る……という、ファンクラブを発足したらしい。

もちろん冬哉は認めていないんだけど。


「山下さんを使って冬哉くんと仲良くなるなんて、卑怯じゃない!?」


声を荒立て、ずいっとはるかに詰め寄る友永さん。

長い黒髪をポニーテールにしているせいか、元々つり目がちな彼女だけど、今日は一層つり上がっている。


「待って友永さん、はるかは……」

「でも、仲良くするか決めるのは橘くんでしょ?」


不穏な雰囲気に、何とか言い訳しようとした時だった。

あたしの言葉を遮って、発言したのははるか。


「私がなっちゃんを使ったとしても、私と仲良くするかどうか決めるのは橘くんでしょ?」

「なっ……!」

「違うの?」


はるかは少しも怯む様子なく、友永さんを見つめ首を傾げる。すると、