何はともあれ、はるかが嬉しそうで良かった。でも……。
「いきなり仲良くなってるから、びっくりしたよ」
「あ、ごめん、詳しく話してなかったよね。なっちゃんが橘くんのスマホに私の連絡先入れたって教えてくれたでしょ? 実はあれからすぐに橘くんから連絡があって、週末ちょっとやり取りしてたんだ」
「へぇ……」
教室へと向かって歩きながら、経緯を説明してくれたはるかに、あたしはハッキリとしない相槌をうつ。
冬哉が怒ったと思っていたのもそうだし、それがなくても正直ふたりが打ち解けるには、もう少し時間がかかると思っていた。
だって冬哉は今まで、あたし以外の女の子とは話をすることすら嫌がっていたから。
その中でも特に、自分に好意を寄せていると分かっている女の子を嫌っていた。
それなのに──。
「橘くんって、思ってたより全然話しやすいね」
頬を赤らめ、嬉しそうに話すはるか。
「いや、すごいのは……」
『はるかの方だよ』と、言おうとした瞬間。
「三浦さん! ちょっとどういうことなの!?」
すごい剣幕で、あたし達の会話を割って話しかけてきたのは、同じクラスの友永さん。



