悪気があったわけじゃない。だけど、冬哉の気持ちを無視して先走ってしまったことを、ちゃんと謝らなくちゃ。
──そう思っていたのだけど。
パパのところへ向かうママの準備なんかでバタバタして、冬哉とロクに話も出来ないまま、週明け。
目の前の光景に、あたしはポカンと口を開ける。
だって……。
「あはは、なっちゃんってそんなに泣き虫だったんだ、意外!」
「今だと想像出来ないよな?」
この前のママ達みたく、人の恥ずかしい昔話で盛り上がって笑われているのに、それを怒鳴って止めることすら出来ない。
なぜなら、あたしの一歩前で楽しそうに話すのははるかと……冬哉。
いつものように冬哉と登校している途中、この前のことを謝ろうとしたそのタイミングで、はるかに声をかけられた。
今まで冬哉と一緒にいるときは話しかけてこなかったのに、珍しいな……と思っていたら、冬哉と普通に、むしろ友達だったみたいに話し始めて。
それはもう自然に一緒に歩き始め、今に到る……というわけ。
いつの間にこんなに仲良くなったの?
……って、冬哉のスマホを奪って、ふたりの接点を作ったのはあたしなんだけど。
でも……。