「ご、ごめっ……」

後ろによろける冬哉に慌てて謝る。


冬哉は別に悪くない。というか、どちらかといえば悪いのはあたし。

突き飛ばすことなんてなかったけど、少し動けば触れてしまいそうな距離に、顔が熱くて……頭の中が真っ白になってしまった。


そっと伸ばした手が冬哉に触れようとした瞬間、


「わかった」


ひと言だけ。

冬哉は感情なくそう言い残して、そのまま二階へと上がっていった。


「わかった……って……」


全然そんな顔してなかった。

怒っていたのが痛いくらいに伝わってきた。


「はぁ……」


いくらなんでも、ちょっと勝手に突っ走りすぎちゃったかな……。

冬哉の姿が見えなくなって、やっと肩の力を抜いたあたしはため息を吐く。


はるかは本当に良い子で可愛くて、きょうだいのように思っている冬哉と、親友のはるかが付き合うようなことになってくれたら嬉しいと思っていた。

だけど、それはあたしの一方的な気持ち。

冬哉は女嫌いなんだもんね……。


冬哉の気持ちを無視していたことに、馬鹿なあたしは怒られてから気づいた。