冷徹王子様は、あたしだけに甘い恋をする。



「ええっ!? ここで一緒に暮らすってこと!?」


帰宅早々、ママに連れられ隣の家に来たあたしは、食卓を挟んで目の前に座る『美奈さん』こと、冬哉ママに向かって声を上げた。


「そう。ママやっぱりパパのところに一週間くらい行ってあげようと思って。夏海は学校もあるし残るでしょ?女の子がひとりなんて物騒だし、もし良かったら……って美奈さんが」

「うん。あ、もちろん夏海ちゃんが嫌だったらいいからね? おばさんお手伝い出来ることはしてあげようと思うし」


隣に座るママの説明に、うんうんと頷きながら付け足す冬哉ママ。


うちのパパは単身赴任しているのだけど、大腸にポリープが見つかって、来週手術することになっていた。

入院期間は長くても3日だし、パパはひとりでも大丈夫……と言っていたけれど、現実問題ママが行ってあげた方がいいと、あたしも思っていた。

もう子どもじゃないし、一週間くらいひとりでも平気ではあるけれど……。


「いっ、嫌なんかじゃないよっ! 冬哉ママ達さえ良かったらぜひ!!」


あたしはバンと机を叩いて立ち上がって、返事した。