冷徹王子様は、あたしだけに甘い恋をする。


「ずっと冬哉と一緒にいられるように頑張る」


決意を新たにギュッとシャーペンを握ると、冬哉はキョトンとした後に、「ばーか」と呟いた。

そして、


「別に夏海が頑張らなくても、離れるつもりなんかないし」


言いながら冬哉は身を乗り出して、そっとあたしの頬に触れる。


しんと静まる空気。

じっと冬哉に見つめられ、あたしの鼓動はドキドキと早くなる。


赤ちゃんの頃からずっと一緒にいるのに、この甘い雰囲気には全然慣れない。


「っ……」


近付いてくる冬哉の顔にぎゅっと目を瞑る……けど、


「まぁ夏海の場合、勉強は必要か」

「へ?」


聞こえた声にパチっと目を開ける。

すると、さっきまですぐ近くにあった冬哉の顔は元の距離まで離れていて。


「もしかしてキスとか期待した?」

「っ、ちがっ、冬哉のばかっ!!」


クスッとからかうように笑う冬哉に、あたしは真っ赤になったであろう顔をノートで隠す。