冷徹王子様は、あたしだけに甘い恋をする。




そして放課後、あたしは約束通り、冬哉の部屋に来た……の、だけど──。



「なんで勉強っ!?」


目の前に広げられた数学の問題に、堪えきれなくなって声を上げた。


「なんでって、また赤点だったんだろ?」

「違う!ギリギリ赤点じゃなかったもん!」

「はいはい、でも充分勉強しなきゃいけない点数だったんだろ?」


冬哉の返事に、「うっ」と言葉を詰まらせる。

確かに、もっと勉強しないと次は確実に赤点になりそうだけど……。


「はるか達と遊びに行きたかったなぁ……」


あたしは肩を落とし、小さく呟く。


お昼休憩のあの後、はるかと秋吉くんは無事に仲直り出来たみたいで。

放課後、今日は部活がお休みだという秋吉くんは、教室まではるかを迎えに来た。

そこに冬哉も来て、


「良かったら今日4人で遊ばない?」


と、秋吉くんの方から誘ってきてくれたのだけど……。


「悪い、今日俺ら用事あるから。またリスケして」


二つ返事で「いいよ」と言おうとしたあたしの口を塞いで、冬哉はそのままあたしを引きずり帰った。