冷徹王子様は、あたしだけに甘い恋をする。


「学校でこういうことしないでって、言ってるじゃん」

「ごめん、夏海が可愛いからつい」


そう言いながら、冬哉はまたあたしの頭を引き寄せる。


「ちょっ、もうチャイム鳴っ……」


再び近づいてくる冬哉の顔に、ギュッと目を閉じる……けど。


チュッと軽いリップ音を立て、冬哉がキスしたのは、あたしの頬。


「え……?」


予想外の場所にあたしが目を開くと、フッと笑う冬哉の顔があった。


「何だかんだ言って、今期待しただろ?」

「なっ……!?」


さっきよりも赤くなる、そんなあたしの頭をくしゃっと撫でて、冬哉は歩き出す。

そして、



「続きは今日、部屋に来て」



振り返った冬哉は、悔しいくらい整った顔でイタズラに笑い、そう告げた。