冷徹王子様は、あたしだけに甘い恋をする。


思いがけない至近距離に、ドキッとした次の瞬間。


「別に迷惑はかけられてないけど、他の男とふたりになったお仕置きはしなきゃな」


冬哉が意地悪に微笑んで。


「えっ、あっ、ちょっ……!?」


ゆっくりと近づいてきた冬哉の唇が、あたしの口を塞いだ。


「んっ……!」


やめてとばかりにトントンと冬哉の胸を叩くけど、おかまいなし。

角度を変えて何度も重なる唇に、頭がクラクラする。
 

だ、だめ……。

このままじゃ──。


身体中が熱くて、力が入らなくて。

冬哉にされるがまま……の、あたしを助けてくれたのは、チャイムが鳴る音だった。


「次の授業、数学だよ」

「ガチだるいよねー」


すぐ隣の廊下を、パタパタと走っていく女子生徒の声。


「……また真っ赤になってるし」

「っ!冬哉のせいじゃん!」


あたしが目を開くと、冬哉がクスクスと笑っていて、思わずムッとする。