冷徹王子様は、あたしだけに甘い恋をする。


それにしても、いつの間に写真なんて撮られていたんだろう。

秋吉くんとふたりの写真を冬哉に突き付けられ、ほんの少しもヒヤッとしなかったと言ったら嘘になる。

だけど……。


『あんたらの言うことより、夏海の方を信じるから』


さっき聞いたばかりの冬哉の言葉を思い出して、顔が綻ぶ。


冬哉があたしを信じてくれるから、あたしも冬哉を信じるって決めた。


付き合い始めてからも冬哉の人気は絶大で、今のように邪魔しようとする女の子はいっぱいいる。

冬哉が守ってくれているけど、彼の隣に立つあたしを悪く言う声が全く聞こえないわけじゃない。


正直怖いし悲しいし、不安になることだってある。


でも、冬哉があたしを選んでくれたから……その気持ちを一番に信じようって思った。


……あたしも冬哉が好きだから。


周りのことなんて関係ない。

一番大事なのは自分と、恋をする相手の気持ち。



あたしは壁から背中を離し、そっとその場を立ち去ろうとした。

だけど、



「そこに隠れてんの、気付いてるんだけど」

「ひゃっ!?」


声がして、振り返ると真後ろに立っていたのは冬哉。