冷徹王子様は、あたしだけに甘い恋をする。




「だからっ!山下さん、さっき秋吉くんとふたりでいたんだって!ほら、これ証拠!」


ひと足早く先に教室へ戻ろうとしていると、廊下の前で自分の名前が聞こえて足を止めた。


物陰からそっと覗くと、冬哉のクラスだと思われる女子が二人と、その前には冬哉の姿。

そして、突きつけられたスマホの画面に映るのは……さっき秋吉くんに話しかけた時の写真?


「秋吉くんって、山下さんといつも一緒にいるあの子と付き合ってるんでしょ?友達の彼氏とか、やばくない?」

「そうそうヤバいよね!最初見間違いかと思ったもん!」


冬哉の目の前で、ここぞとばかりに盛り上がる女子達。


何を言っているかと思えば、そんなこと……。


あたしが秋吉くんとふたりで話したのはものの数分で、写真を撮った角度的にも、はるかがいたことに気付いているはず。

なのに、ワンシーンだけ切り抜いて、よくもまぁそんな風に言えるものだと、呆れてため息を吐く。


とにかく、冬哉に変に誤解される前に説明しておこう。

そう思って、出て行こうとした時だった。