冷徹王子様は、あたしだけに甘い恋をする。


***


「橘くんと一緒じゃなくて、本当に良かったの?」


教室に戻って、お弁当の包みを広げながら、あたしに問いかけるのは、はるか。


「うん、だって冬哉がいたら、はるかと話できないでしょ」


「それはそうだけど……」と呟くはるかは、とっても申し訳なさそう。

でも、表情がいつもより暗い理由は、他にもあることを知っている。


「あたしの場合いつでも冬哉に会えるから!それより、最近秋吉くんに避けられてる気がするって、さっきみたいなこと?」


単刀直入に本題に迫ると、はるかはコクンと頷いた。そして、


「あのね、なっちゃん達が悪いとか、そういう風に思ってるんじゃないから、気を悪くしないで聞いてほしいんだけど……避けられてるって感じるの、なっちゃん達が一緒にいる時なんだ」


「え……?」


深刻な顔をして口を開いたはるかに、目をパチパチさせる。


「ふたりでいる時は別に普通なの。でも、私がなっちゃんや橘くんと一緒にいると、さっきみたいにわざと避けられてるような気がして……」

「……」


はるかの言葉に、あたしはお弁当の蓋を開きかけた手を止める。