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「橘くんと一緒じゃなくて、本当に良かったの?」
教室に戻って、お弁当の包みを広げながら、あたしに問いかけるのは、はるか。
「うん、だって冬哉がいたら、はるかと話できないでしょ」
「それはそうだけど……」と呟くはるかは、とっても申し訳なさそう。
でも、表情がいつもより暗い理由は、他にもあることを知っている。
「あたしの場合いつでも冬哉に会えるから!それより、最近秋吉くんに避けられてる気がするって、さっきみたいなこと?」
単刀直入に本題に迫ると、はるかはコクンと頷いた。そして、
「あのね、なっちゃん達が悪いとか、そういう風に思ってるんじゃないから、気を悪くしないで聞いてほしいんだけど……避けられてるって感じるの、なっちゃん達が一緒にいる時なんだ」
「え……?」
深刻な顔をして口を開いたはるかに、目をパチパチさせる。
「ふたりでいる時は別に普通なの。でも、私がなっちゃんや橘くんと一緒にいると、さっきみたいにわざと避けられてるような気がして……」
「……」
はるかの言葉に、あたしはお弁当の蓋を開きかけた手を止める。



