秋吉くんは、あたしと冬哉の方をチラリと見た後、


「ごめん、昼はちょっと部活のことで予定があって。俺は遠慮しとくね」


あくまで優しく、申し訳なさそうにそう言うと、はるかに「後からまた連絡する」と続けて、あたし達に背を向けた。


「あっ、護くん……」


はるかが追いかけるように声をかけるけど、既に距離が開いてしまっていて届かない。


「なにアイツ急いでんの?」


これから戻る方向は同じ、ましてや冬哉とは同じクラスなんだから、一緒に戻ってもいいのに。

不思議そうに首を傾げる冬哉に、「さあ……」と短く返事しながら、あたしが気にするのははるかの様子。


はるかは少し寂しそうに、秋吉くんの後ろ姿を見送っていて。


『最近ちょっと様子が変っていうか、避けられてるみたいに感じることがあるんだよね』


伏目がちに打ち明けてくれた言葉を思い出さずにはいられなくて。


「じゃあ、今日のお昼はなっちゃんと橘くんのふたりで──」

「ごめん冬哉、今日のお昼はやっぱ別で!」

「は?」


笑顔を浮かべ、はるかがこっちに振り向いた瞬間。

あたしははるかの手を取って、冬哉を置いて歩き出した。