「見た!? 今、笑った!」
「見た見たガチでカッコいい!」
「「「夏海が羨ましーい!!」」」
冬哉を見ていたはずの視線がグワッとこっちを向いて、あたしは「あはは……」と苦笑で返した。
冬哉の人気が最近一段と上がっている理由。
それは、冬哉の表情が柔らかくなったから。
『冷徹王子』なんて呼ばれていた冬哉だけど、付き合い出してから学校でもよく笑ってくれるようになった。
最も、笑顔を向けられる特権を持つのは、彼女であるあたしだけなんだけど、それでも冬哉の笑顔は周囲の女子達をメロメロにさせている。
……まぁ確かに、赤ちゃんの頃から一緒にいるあたしでも、ドキッとしちゃうくらいカッコいいけど。
「大変だね」と笑いながら、「でも、ほんと羨ましい」と呟くように言うはるか。
いつだか聞いた、デジャヴを感じる発言。
だけどもう、『はるかが冬哉のことを好き』なんて勘違いはしない。
だって……。