冷徹王子様は、あたしだけに甘い恋をする。


「ん? あ、はるか飲む?」

「えっ…… 私、今何か言った?」

「うん、あたしのこといいなぁって」

「っ……!!」


はるかはハッとした後に、やってしまったとばかりの顔をして、真っ赤になる。


あ、あれ……この反応……。


「もしかして、はるか……」


言いかけたあたしは、ここじゃダメだということに気付いて、はるかの手を取った。


「とりあえず、中庭行こっ!」






校舎と校舎の間。

手入れされた芝が生茂る中庭には、いくつかベンチが設置されており、あたし達はちょうど空いていたところに並んで腰掛けた。


ここなら大丈夫……だよね?


念のためキョロキョロと周りを見渡して、あたし達の話を聞いている人がいないことを確かめてから、隣で心なしか気まずそうな顔をしてお弁当の包みを開こうとしているはるかに、口を開いた。


「もしかして……なんだけど、はるかって冬哉のこと好きなの?」

「っ……!?!?」


さっきと全く同じ反応……いや、それ以上。

はるかは顔を真っ赤にして、口をパクパクさせた後、


「えっ、いや、違うよ! 好きとかそんなんじゃなくて! えと、何て言ったらいいのかなっ……」