「ねぇ、冬哉! 聞いて……る?」
一歩先を歩く冬哉の袖を掴んで、あたしは目くじら立てようとしたけど、その瞬間くるっと冬哉は振り返って──。
「じゃあ、家の外なら何したっていいの?」
あたしの顎をクイッと持ち上げて、そう聞いてきた。
「へ? はっ、ちがっ……」
ここは強く否定しなきゃいけないところ。
だけど、何だか艶っぽい冬哉の表情に、ドキッとしてしまって動けずにいると……。
「何してるの?」
背中の方から鋭く突き刺すようにかけられた声に、ハッと我に返って振り返った。
すると、あたしを睨みつけて立っていたのは……栗山さん。
いつかの朝、冬哉の家の前で待ち伏せしていた同じ中学だった女の子。
もしかして今日も待ち伏せしていたんだろうか。
そんなことを考えていると、栗山さんはあたしの前にツカツカと歩いてきた。そして、
「何でただの幼なじみの山下さんが、冬哉くんの家から出てくるの?」
真っ直ぐあたしに向かって、投げかけられた言葉。



