「冬哉ママ達がいるのにあんなことするのやめてっ!」
さっきの出来事をやっと冬哉に咎めることが出来たのは、「行ってきます」と、ふたり揃って家を出てから。
「冬哉が最初に言ったんだよ、内緒にしようって!」
そう、あたし達が『幼なじみ』じゃなく『恋人』として付き合い始めたことは、ママや冬哉ママ達には秘密。
というのも、あの水族館の帰り道で冬哉が「母さん達には俺らのこと内緒な」と、言ったのだ。
「なんで?」と首をかしげると、「付き合ってるって知られたら、もう気軽に家とか行き来できなくなるだろ」と、冬哉。
その意味が一瞬分からなかったけど、後から気付いてあたしは赤くなった。
確かに、それもそうかも。
今まで通り遊びに行ったりは出来ると思うけど、泊まりとかはやっぱり気軽に出来ないかもしれない。
それに、うちのママとか絶対やたら冷やかしてくると思うし。
それは正直避けたい。
同調する部分も大きくて、だから冬哉の提案に頷いて、秘密にしようと決めた……のに。



