「冬哉ママ、おはよう!あれ、冬哉は?」

「夏海ちゃん、おはよう。あの子まだ起きないの。悪いけど起こしてきてくれる?」

「あっ、はーい!」


月曜の朝。ママが帰ってきてすっかり元に戻った生活。

だけど、珍しく早く起きてしまったあたしは、学校に行く準備を済ませ、冬哉の家まで迎えに来た。

いつもどちらかと言えば、あたしの方が寝坊するタイプなのに、今日は珍しいな……なんて思いながら、冬哉の部屋のドアをノックして、そのままガチャっと開けた。


すると、こっちに背を向けてまだベッドに寝ている冬哉。


「もう……冬哉、朝だよ。早く起きて──」


あたしは冬哉の肩に手をかけて、揺さぶり起こそうとしたけど、

その瞬間その手をグイッと引かれ、そのまま前のめりに倒れたあたしの唇に、冬哉の唇が軽く重なった。


「なっ……!」

「おはよ」


チュッと軽いリップ音の後に、腕を掴んだまま気だるそうに挨拶する冬哉。


「おはよう……じゃ、ないっ!」

「なんで? もう一回しとく?」

「っ……!?」


再び腕をグッと引かれ、目の前には冬哉の顔。


なんで朝っぱらからこんなことに──!!


少し角度をつけて近付いてくる冬哉の顔に、あたしはギュッと目を瞑る。