冷徹王子様は、あたしだけに甘い恋をする。


素直な気持ちを吐き出せば、勝手に込み上げてくる涙。


「なんであたしなの?幼なじみだから、ずっと一緒にいたから、勘違いしてるんじゃないの?」


昨日冬哉に告白しようとした時に気付いた。


一度好きだと言ってしまえば、冬哉と恋人になってしまえば、もう元の関係には戻れない。

もしいつか冬哉が他の女の子を好きになってしまった時、あたしは耐えられる?


だったら、このまま幼なじみでいた方がいいんじゃないか。

ずっと無条件で側にいられる『幼なじみ』でいた方が。


そんな思いが邪魔をして、冬哉に自分の気持ちを伝えることが出来なかったけど──。


「じゃあ夏海は勘違いなわけ?」

「え……」

「こうして俺のこと呼び止めて、泣いてんのは勘違い?」

「それはっ……」

「こっちはいつから片想いしてると思ってんだよ。勘違いとか見くびんな。それに、隣に立つ自信とか必要ないし」


「はぁ」と、聞こえるくらいのため息すらつきながら、呆れたように冬哉は言うと、「ちょっとこっち」と、あたしの手を引いて歩き出した。