冷徹王子様は、あたしだけに甘い恋をする。



鏡に映った自分の姿を見つめる。

急いでいたけど、軽くしてみたメイクのおかげで、いつもより若干可愛く見えなくもない。

だけど、良く見積もっても中の中って感じ。

かといってスタイルが良いわけでもなく、むしろ胸はない方に自信が張れる。


せめて、もっと女の子らしい服を着て来れば良かった。

Tシャツにデニムのミニスカートとか、普段着と変わらなさすぎて。

やっぱりはるかがオススメしてくれたスカートを買っておけば良かったなぁって、今さら後悔さえする。


そのくらいあたしは……不釣り合い。


今まで冬哉の隣に立つことに、何の躊躇いもなかったはずなのに。

幼なじみとしてはいいけれど、『女の子』として改めて自分を見れば、冬哉の隣に立つには圧倒的に不釣り合いだと思う。


──どうしてあたしなんだろう。


冬哉の周りには絶えず女の子がいて、あたしなんかより可愛い子も沢山いるのに。


じっと鏡を見ていたら、どんどん悪い方に考えて落ち込んでしまう気がして、あたしは冬哉の元に戻ることにした。

だけど──。