冷徹王子様は、あたしだけに甘い恋をする。


……ていうか、いつの間にこんなに背が高くなっていたんだろう。

中学2年生の時くらいに急に伸びたのを覚えているけど、最近また伸びた気がする。


「ねぇ……」

「ん?」

「っ!!」


今、身長が何センチあるのか聞こうとしたその瞬間、こっちに顔を向けた冬哉との距離が、思いの外近くてビクッとした。


「や、なんでもないっ!あたしちょっとトイレ行ってくる!」


冬哉の顔が目の前にあったそれだけで、真っ赤に染まる顔。

そんな自分が恥ずかしくて、あたしは逃げるようにくるっと踵を返した。





冷たい水で手を洗いながら、「はぁ……」と深くため息をつく。


ついこの間まで、どんなに冬哉が近くにいても平気だったはずなのに。

自分の気持ちを自覚してからというもの、まるで別人みたいに意識してる。


あたしが思っていたそれ以上に、いつの間にか冬哉は『男の人』で。

それに、前々から分かっていたけど、改めて目の当たりにしてすごいと思った。

学校の同学年の子はもちろん、年下の中学生や、年上の飼育員さんにまで気に入られてしまうんだから。


それと比べ、あたしといったら……。