冷徹王子様は、あたしだけに甘い恋をする。



あれは多分あたしが小学3年生くらいの時。

社会科見学で水族館に行った時に感動して、水族館ブームが起きて、休日に何度も通った。

冬哉の家族も巻き込んで、一緒によく来ていたっけ。


「でも、こんな感じの建物だった?少し変わった?」

「最近リニューアルしたんだって」

「そうだったんだ!知らなかった」


言いながら歩いていくと確かにあの頃とは違って、とても綺麗になっているけど……ほんの少し寂しい気もする。

知らない間に時が過ぎて、変わってしまったことが。




「わぁー、すごい人だね」


入り口に辿り着くと、チケット売り場には列が出来るほど、人でごった返していた。

チケットを買うのにも時間がかかりそうだなと思いながら並ぼうとしていると、


「こっち」


冬哉に腕を引っ張られ、誘導されるのは入り口。


「え、チケット買ってないよ」

「前売り券持ってる」


さらりと言うと、冬哉は財布の中からチケットを取り出し、前売り券専用の入り口から、あたし達はあっさりと水族館の中へ入ってしまった。