冷徹王子様は、あたしだけに甘い恋をする。


「……」

「あっ、ちがうの!これはっ!」


人が寝てる時に何してんのと、絶対にからかわれる。

そう思ったあたしは、慌てて弁解しようとしたけれど──。


「っ……」


何も言わず、フイッと顔を背けたのは冬哉。

拒絶とも取れる反応に、チクンと胸が傷んだのは一瞬だけ。なぜなら、

あ、あれ……?

よく見てみると、何だか様子が違うことに気付いた。


頬杖をついて外方を向く冬哉の顔は、心なしか耳まで赤くて。


「ビビった……」


小さく呟いた声が、微かに聞こえた。


え、もしかして……。


「照れてるの……?」


恐る恐るあたしが聞くと、冬哉はジト目でこっちを見た後、


「……ばーか。次の次で降りるから」


そう告げた後、すぐにまた顔を逸らした。