冷徹王子様は、あたしだけに甘い恋をする。



──これは一体、どういう状況なんだろう。


冬哉に連れられ駅へと着いたあたし達は、昼食を済ませて電車に乗った。

何だかんだ文句を言いながらも、結局あたしがオススメしたパンケーキ屋さんに入ってくれた冬哉は優しいと思う。

クリームとフルーツが沢山乗ったパンケーキに目をキラキラさせるあたしの横で、大盛りパスタのランチセットを選んでいたけれど。


──で、昼食を食べていたところまでは良いんだけど、どうして……


どうして手を、まだ握られているんだろう。



カタンカタンと静かに揺られる電車。

行き先はまだ教えてもらえていなくて、気になるといえば気になる。

だけどそれよりもずっと気になるのは、隣に座る冬哉にギュッと握られたままの手。


こんなの落ち着かなくて、無駄に背筋が伸びる。


そんなあたしに対して、冬哉はどうしているかというと……。