冷徹王子様は、あたしだけに甘い恋をする。


「あ……」 


真っ直ぐあたしを見つめる冬哉に、言葉が出てこない。


お預け……確かにそうかも。

あそこまで言ってしまえば、冬哉もきっと続きの見当は付いていて、躊躇う必要もない……はずなのに。


「……まぁいいや」

「えっ」


突然立ち上がった冬哉に、あたしは少し慌てた声を上げる。

踏ん切りが付かないあたしに、とうとう愛想を尽かしてしまったのかと焦る。

だけど、


「明日空けといて」

「え?」

「出掛けるから」


無表情のようで、少し微笑んだようにも見える表情で、冬哉はさらりと言うと、そのまま部屋を出て行った。


明日出掛ける……って、言ったよね?

誰と誰が……?

冬哉と……あたしが……?


「……へ?」