だんだん引っ掻く手の力が弱まり、手首に手を置くだけの状態となった。息苦しさから酸素を求める為に何度も口を開閉するが、限られた息を吐くだけだった。
 鬼のように私を睨みつける冬馬の顔がぼやけてしまい、やがて何も見えなくなった。