私はガバッと顔を上げて私を起こす相手を見る。

「……ハヤテって誰だ?」
「あ……」

 そこにいたのはハヤテさんじゃなかった。私の肩を揺さぶったのは私を見下ろす冬馬だった。
 私はすぐに立ち上がって冬馬と距離を取ろうとする。しかし、すぐに桜の木に背中をぶつけてしまい、手を伸ばせばまた捕まる距離しか取れなかった。