先程から私たちのやり取りを遠巻きに見ていた隣の席の客たちが、私たちの間に割って入り冬馬から引き剥がしてくれた。

「大丈夫?」
「は、はい。ありがとうございます」

 助けてくれた客に私は大袈裟に体を震わせながら頭を下げると、一目散に店から出て行く。
 後ろから冬馬の怒鳴り声と先輩たちが止める声が聞こえるが、そんなのはどうでもいい。
 早く、早くハヤテさんに会いたい‼︎
 私の頭はそれしか考えておらず、口角をいびつに上げてあの桜に向かって走った。