声を掛けた男はやっぱり冬馬だった。冬馬の言葉に周りにいた大学生たちが一斉にこちらを向いた。
 皆一様に顔を赤らめて目が据わっている。テーブルの上には空になったビールジョッキと中身の入ったビール瓶が置いてある。
 まだお昼なのに、酒を飲んでいるなんて……。
 お酒の臭いに思わず口元を隠して一歩後ずさる。

「っていうか、冬馬の彼女にしては地味じゃねぇ?」
「言えてる〜。冬馬って派手好きだから、彼女もそうだって思った」
「でも、素はなかなか良さそうだぞ」