「もう! 何で出ないのよ‼︎」
「どうしたの?」

 荒々しくスマホをタップする私にハヤテさんが心配そうな顔で、私の顔色を伺う。

「彼氏からの呼び出しです。すぐにここを出ないと間に合いませんね」

 私は溜息をつきながら立ち上がり、スマホを操作する。お互いに入れたGPSアプリを起動して冬馬の位置を確認する。今から走って向かってちょうど冬馬の言っていた時間になる。