手のひらに感じるボールの感触。

咲綾(さあや)、行け!!」

相手チームのディフェンスを交わしながらゴールネットに狙いを定める。

バスケットボールは美しい弧を描きながらネットへ吸い込まれていく。

手を離れた瞬間、決まったと確信した。

ボールはネットに擦ることなくストンっと床に落ちた。

「よしっ!」と声を上げたその瞬間、わっと周りの歓声が沸いた。

ジャンプしてガッツポーズしているチームメイトもいる。

胸が弾む。ギリギリの攻防戦だ。最後まで気が抜けない。

でも、一進一退のこの状況にアドレナリンが一気に溢れ出す。

負けたくない。

「もう一本!!」

あたしは誰よりも大きな声で叫んだ。