2人で階段を上がっていると上から3人組の女子が降りてきた。


あたしは咄嗟に階段の横へ身をよける。


それをみた一人が眉間にシワを寄せると、わざとらしくあたしの隣ギリギリと歩いて通り過ぎて行った。


その時肩がぶつかり、持っていたプリントを階段にばら撒いてしまう。


ぶつかっていた女子生徒は一旦振り向くと、含み笑いを浮かべて「あ、ごめんねぇ?」と声をかけると、そのまま歩いて行ってしまった。


「ちょっと!」


すかさず咲子が声をかける。


しかし、それよりも前に人影がプリントを拾ってくれていた。


「あ、えっと」


その人を見た瞬間、またしどろもどろになってしまった。


「大丈夫?」


顔をあげた船見くんが心配そうにこちらを見る。


「だ、大丈夫だよ。ありがとう」


「ったく、ぶつかったなら謝れよな」


船見くんはブツブツと文句を言いながら、拾ってくれたプリントを差し出してきた。


それを受け取る瞬間、指先がかすかに触れて慌てて手を引っ込めた。


あたしの心臓はさっきから早鐘を打っているし、体温は上がってきているのがわかった。