「そろそろ帰ろうか。」


夕陽が沈んできた頃
蓮兄がそう言った。


「あ、ちょっと待って…」


少し高くなっている丘をかけ上がると
夕陽が畑一面に落ちていくのが見えた。


「綺麗…」


追いかけるように駆け上がって来た三人が
ひまりを囲んだ。


「うわ…すごいね。」

「きれいだな。」


蓮兄がそっと私の肩を抱いた。


「俺らはこれから運命共同体だ。」

「運命…。」

「俺たちの夢はひまりにかかっている。だからお前のことも、俺たちが守る。」


夕陽が蓮兄の顔をオレンジ色に染める。


綺麗…


「私も…頑張ります。みんなの夢のために。」



不思議だ。

まだ出会って数日しか経っていないのに
彼らにひかれている。


彼らのために何かをしたいと
強く思える。


まずはなる。

彼らの求める"杏奈さん"に。