有が連れてきたその子は
確かに杏奈に似ていた。


兄から見たら、さすがに違うけど
マスコミや仕事関係者くらいなら、騙せるかもしれない。



『おかけになった電話は電波の届かない場所にあるか、電源が入っていないため、かかりません。』


ついに充電が切れたのか拒否しているのか
電話さえ通じなくなった。


身代わり…


まさかそんなこと出来るわけないと思っていたけど
これはチャンスなのかもしれない。


だけど
こんなこと、家族として許されることなのか。


『お兄ちゃんが、夢を叶えるためなら何でもするよ!』


だけど先に
その手を離したのはお前だ、杏奈。

俺は俺の夢と…
有と純大を守るためにも、何でもするよ。


有の視線に目で返事をした。


有は少し淋しそうに笑い、
次にはライブの時のような真剣な眼差しになっていた。


「実はさ…ひまりに、蓮の妹になってほしいんだ。」