ズル…


「ひまりちゃん?」


腕を掴まれて
我に返った。
 

「あ、ごめんね!」

恥ずかしそうにパッと手を放した純大は
そっと私の顔を覗き込んだ。


「大丈夫?疲れてるんじゃない?少し寝てなよ。」

「あ、いえ、ごめんなさい。ちょっとぼおっとしちゃって…」

「貧血とかかもよ…あっちで少し休みなよ。俺につかまれる?」


そっと腕を差し出され、
反射的に触れたゴツッとした筋肉質な腕に
また胸がはねた。


「だ、大丈夫。一人で歩ける…先行きますね!」



どうしていいか分からず、
思わず純大よりも先に洗面所を飛び出した。