「ひまりも。ほら、全然たべてないじゃん。ほら、口開けて?」


蓮はまるで子供にやるかのように
スプーンに乗せた野菜を私の口の前に運ぶ。


「じ、自分でたべれますっ…///」


そんな整った顔で見られて
口なんか開けられるわけない。


「あ、また敬語!罰として…はい、口あけて。あーん。」


有無も言わさない笑顔に
私は仕方なく口を開けた。


「おいし?」


私がうなずくと蓮は嬉しそうに微笑んだ。


緊張して、どうやって飲み込んでいいのか
分からなくなってしまう。


「あ、蓮兄っ!ズルいなっ。」

「ん?ジュンちゃんもやってほしいの?」

「そんなこと言ってない!」


蓮は笑いながら、またじっと私の顔を見る。


サラサラの髪が、カーテンから入ってくる光に透けて綺麗…


あまりの美しさに
見とれてしまう…


「杏奈…」


その蓮の声で、我に返った。

そうだ。これは仕事だ。しっかりしなくちゃ。