「ひまりちゃん、おいで。部屋準備してあるよっ!」

純大は立ち上がると、部屋に案内してくれた。


8畳ほどのクローゼットのある部屋に
セミダブルのベッドが置かれている。

薄めのブラウンで統一された部屋に
ホッとした。


「杏奈の使ってた部屋でっ…ごめんね。だけどねっ!シーツとかは全部新しいの買ったからさ…。」

4畳半の築50年のアパートに住んでた私は
そんなこと全然気にしないのに
焦ってる純大はなんだかかわいかった。


「何色が好きか分からないからって、蓮兄がブラウンで揃えたんだ。もし、他に好きな色とかあったら…。」

「ううん…大丈夫です。」


こんな私に気を使ってくれるなんて優しい人達なんだろうな。

自分がいつの間にかほっとした気持ちになっていることに気づいた。


「あ!」

「えっ…」

「笑った。」


純大は嬉しそうに私の手を掴んだ。


「ひまりちゃんは…笑ってるほうがいいよ。俺も嬉しい!」


今まで男性に触られることに嫌悪感しかなかったけれど

その手はとっても温かった…。