「これ…」


必死で手に入れた帳簿も渡した。


「…絶対に逮捕しますから。君は家に帰りなさい。」

「でも…。」

「これ以上は危険だ。」


これ以上無茶をすれば、晴人も危険かもしれない。


結局、最初から私に出来ることなんてなかったのかもしれない。


名刺とお金を握らされて、私はいつの間にか泣いていた。


小池さんはそんな私をそっと引き寄せ、抱きしめた。


そのスーツからは煙草の香りがする。

有の香りとは全然違う。


「一人でよく頑張ったな。もう大丈夫だから。」

「う…小池さん…あいつを…逮捕して。。」


張り詰めていたものが溢れ、私は子供のように泣きじゃくった。