「あの…晴人が連れ去られたって本当ですか…。」


諦めたのか、里美は顔をあげた。

やはり吉沢杏奈にそっくりだ。

強いて言えば、里美の方が
少し年齢が上な気がするくらいか。


「残念ながら、本当だ。」

「そんな…」


それを聞いて晴人を心配する様子は
どうやら嘘ではなさそうだ。


「…帳簿ってなんだ?」


その言葉に言葉をつぐんだ里美は
下を向いて、黙り込んだ。


「あなたは…誰なんですか?川口組の人ですか?」


晴人は俺の正体は言ってなかったようだな。


「俺は小池だ。刑事だよ。」