そして最終公演の日がやってきた。


会場は今日も一面、Sunriseのチームカラーである赤いペンライトに包まれ、真っ赤に染まった。


そして
カウントダウンとともに、最後のステージが幕を開けた。


ライブが中盤になった頃、
ようやく一段落して、一呼吸できた。


そういえば、小池さんのお知り合いは無事に着いたのかな?


手配した座席を見ると、そこには女性が少し身を隠すように座っていた。


ドクン


なんとなく
変な予感がして、思わずオペラグラスを手に取った。


まさか…


杏奈さん?


ち…ちがうかな…。


ドクン
ドクン


本人を見たのは写真だけ。

だけど
そこにいるのは杏奈さんだと思った。


どういうこと?

なんで小池さんが?

あのチケットを杏奈さんに渡した?


横にいるのが一緒に逃げている人?


色々な感情が身体中をものすごい勢いで巡る。

背中を伝わる汗のヒヤッとした感覚に、ようやく少し落ち着きを取り戻した。