「あんた…杏奈さんじゃないわね。」

「そ、そんなわけないですよ!ちゃんと杏奈です!」


思わずしどろもどろになってしまうひまりに
及川はたたみかける。


「へーそう。さっきの脅迫文のこと…木村君に言うわよ。」

「あっ!それは…」


あ…

これはもう認めたようなものだ。


「…あんた、本当にバカね。ちゃんとやるならやりなさいよ!」


どうしよう…


落ち込むひまりの肩をバンバンたたいて
及川はなぐさめた。


「ま、気づいたのは、ライバルだった私だからよ!」

「及川さん…。」

「どんな事情があるか知らないけど、絶対言わないわよ。木村君にとって、いい話ではないもの。」


有のこと…
本当に好きなんだな。


「その代わり…私のことも周りには黙ってなさいよ。」