ある部屋の前に立ち止まると
男はマスクと帽子を外して、私をじっと見た。


やっぱり綺麗な顔…
にじみ出る色気にくらくらする。


「本当に俺を…知らない?」

「…会ったことあるの?」


私が怪訝な顔をして見上げると
男はふっと笑って、カードをかざした。





玄関のドアのロックが解除される。


「なら、いいんだ。」


男はそっと
私の肩を押して、玄関へと招き入れた。