「ちょっと横になってろよ。」

「だ、大丈夫。眠たくないし…」


蓮兄はいいから、いいからと
言って私をそっとソファに寝かせた。


「それか添い寝してやろうか?」

「もー、子供扱いして…」


(それに添い寝なんかされたら
もっと眠れないよ…。)


代わりに、そっと横に座って、私の手を握ると子守唄がわりに歌を歌い始める。


綺麗な声…


聞いているだけで、心が落ち着いてくる。


なんだか
本当のお兄ちゃんみたい…


指からトクントクンと脈を感じる。


たまに錯覚してしまうことがある。


そして忘れてしまう…

これは仕事で…
杏奈さんが帰ってくるまでの
仮の家族だってこと。