「さ、佐倉さん…。」


佐倉さんは唇を強く縛って
何かを考えている。


「とりあえず、あいつらには黙っていろ。ライブ前に余計な心配をかける訳にはいかん。」


佐倉さんは私の肩をポンとたたいた。


そうだ…

こんなものが届いたと知ったら…


「わ、分かりました。」

「俺はちょっと上と相談してくるわ。後のこと頼むな。次は六本木のスタジオでレコーディングだからな。」


そう言って行ってしまった。

佐倉さんの背中はとても頼もしい。


私はいつも佐倉さんに頼りっぱなしでなさけない。


もしこの脅迫文を
彼らが知ったら、ライブを中止すると言うだろう。


それは、私が危険かもしれないから。


のろけではない。
彼らはそういう人間だ。



もし、このツアーが中止になったら、彼らの夢が遠ざかってしまうかもしれない。


私の存在が
三人の邪魔になりたくない。



私が…彼らを、彼らの夢を守らなければ。