「どこ行くの?」



私はなぜか
男のあとをついて歩いていた。


「ん、もうちょっとだよ。」


男はちらっと振り返ると
いたずらに微笑んだ。


「でもね、
俺以外の男にこんな風についてっちゃ
だめだよ?」


ドキン


あ、この人
格好いいんだな。


帽子とマスクで顔を隠しているけど
綺麗な瞳。

背も高いし、身体のシルエットとかオーラとかから、そう思った。


こんな人に今まで出会ったことが
なかった。


自分自身、
すこし胸が弾んだことに驚いた。


男性を好きになったことはないけど

女性としての機能が欠落しているわけでは
ないようだ。