「ひまり、ちょっと昔話…してもいい?」


次の日
少し早く起きてソファに座っていると
蓮兄がまた温かいカフェオレを入れてくれた。

ひまりが小さくうなずくと蓮はゆっくり話し始めた。


「ひまりに言うのもあれかもしれないけど、
うちの家族はすごく仲が良かったんだ。」


蓮兄の気を遣った話し方はカフェオレみたいに優しい。


「でもね、事故で死んだ。いつもみたいに二人で仲良く出かけてっただけなのにさ。」


蓮兄は悲しいはずなのに、
いつもの優しい笑顔をくずさない。

時折、私の髪を撫でた。


「人生って、何があるか分からないよな。」


胸がぎゅっと苦しくなった。

私は本当にまだ子供だ。