狙われてますっ!

「犯罪ってっ。
 僕のはただの一時停止違反ですよ~っ」
とウエイターが(せき)を切ったように話し出した。

「っていうか、遠くの、いつもは走らない知らない道だからやっちゃったんじゃないですか~っ。

 それにちょっとは止まりましたよ、ちょっとはっ」

「今、やっちゃったって自分で言ったじゃないですかーっ。

 確かに一時停止は定義が曖昧ですけど。
 あなたはほとんど止まってなかったですよ~っ」
と一体、いつの話か知らないが、二人は揉めはじめる。

「そもそも私、捕まえようと見張ってたわけじゃないのに。
 あなたが何故かミニパトの前で、するっと行っちゃったから仕方なくっ」

「だから、知らない道だったから、うっかりですよ~っ」

 まるで今捕まったばかりのようにウエイターは熱く訴えはじめた。

 そういえば、武志もいつぞや一時停止で捕まって、今度の免許更新でゴールドじゃなくなると大騒ぎしていたな、と求は思い出す。

「郵便局に罰金払いに行って、散々、警察の文句言ってやりましたっ。
 郵便局のお姉さんも同情してくれましたよっ」

 ……郵便局の人も大変だな。

 っていうか、この人、個室だからいいが、こんな大騒ぎして、クビにならないのだろうか……、と求は他人事《ひとごと》ながら不安になる。

 まあ、それだけ一時停止で捕まった恨みは深いのだろうな……。